2010年5月7日金曜日

「Daddy, I want that.」















「Daddy, I want that.」


「お父さん、あれが欲しい。」

「あれが欲しいのかい?」

「そう、あれが欲しい。1回、頂戴。ひとつくれたら
 今度は自分であれ、ひとつ下さいって言えるし、
 それをお父さんにあげる」

「わかった、じゃあひとつとってきてあげよう」

「わーい」


「ほら、とってきたよ。お前にあげるよ」

「どこにあるの。私には見えない。」

「そうなのかい?お前は少し目が悪くなっているのかな」

「もういっかいとってきて」

「わかった、もう一度とってきてあげよう」

「わーい」


「ほら、どうだい、さっきのより大きいから見えるだろう」

「なあにこれ。私が欲しい形をしていない」

「そうなのかい?よく見てご覧、同じものだよ」

「こんなのいらない、もういっかいとってきて」

「そう何度もとってこれるものじゃないんだよ、
 お父さん、力がなくなってお前をだっこできなくなるよ」

「そしたら自分で歩くからはやくとってきて」

「わかった、これで最後だよ」

「わーい」


「ほら、どうだい、見えない?」

「ほら、どうだい、聞こえない?」

「ほら、どうだい、感じない?」

「ほら、どうだい、気づかない?」



「あれ、お父さん、どうしたの。鼻がなくなってるよ」

「あれ、お父さん、どうしたの。耳がなくなってるよ」

「あれ、お父さん、どうしたの。目がなくなってるよ」


「あれ、お父さん、どこ行ったの。人差し指が落ちている」