2012年7月28日土曜日

幼稚園に入って最初の記憶は

11
先生が部屋の真ん中に置かれた
ピアノの椅子に座って泣いているのを
輪になって座っていたみんなで黙って見ていた。
幼稚園に入ってからの最初の記憶。
私は4歳だから赤ぼうしさん。

12
お掃除の時間で私は軒下のお掃除をしていた。
なぜか止まれなくなってひとりでずっと
ネズミ色のコンクリートの上を掃いていた。
掃いても掃いてもきれいにならない。
お掃除の時間が終わっても先生がいくら呼んでも
みんなが部屋の中から見ているのがわかっていても
自分ではどんどん止められなくなって意地みたいに掃いていた。
上手に止めてくれたのは2つ上のあきこちゃんだったと思う。

13
ドリルの問題に四苦八苦していた。
小鳥さんの入ったかごの線をまっすぐなぞる練習。
鉛筆でまっすぐ縦線を引くのはすごく難しい。
こうすればまっすぐ描けるよと
絵本の背表紙を定規にする方法を
あきこちゃんが教えてくれた。
なんて頭がいいんだろうとびっくりした。


14
黄ぼうしさんになった。5歳。
部屋も変わった。この部屋が一番好きだったかも知れない。
なんといっても階段で2階にあがるとそこは図書室で
降りるときにはすべり台で降りてこられるのだ。
6角形の丸い部屋で窓がぐるりとついていて明るい。
おたのしみは絵本とお絵描きと
おはなしおばさんと外国の先生の英語の授業。

15
おはなしおばさんはその名の通り
お話をしてくれるおばさんだった。
絵本を読んでくれたり
ちいさなお人形が5人ついてるてぶくろをはめて
人形劇をやってくれた。
英語の先生のおかげである日
お母さん集団に突然すごく褒められた。

16
ある日字が読めるようになった。

17
6歳。青ぼうしさん。
なんでかオラァ!とかアチョー!とか言っていた。
だれだれちゃんがスカートめくられたという話を聞くと
めくった男の子を成敗しに行っていた。
男の子のボスとしょっちゅう決闘していた。
決闘のはずがいつのまにか
カンフーを伝授されていることもしょっちゅうだった。

18
そういえば幼稚園には小さな教会がくっついていた。
違う?..違わない。幼稚園に小さな教会がくっついていた。
牧師さんが園長先生だった。
日曜はお休みだったから月曜にお祈りの時間があった。
お祈りが終わるときれいな絵のシールが1枚もらえて、
自分の手帳に貼って集めることが出来た。
イエス様が言ったいい言葉と、そのシーンが描いてある。
一番好きな言葉。
あなたのりんじんをあなたよりもあいしなさい。
大人になって気付いたけど、私は間違って覚えている。

19
ある日シールの余白の部分を食べてみせた女の子がいた。
ごくん。飲んじゃった。すごいでしょう。
私だって食べれると言って、私もシールの余白を食べた。
変な味。でも私には出来ないなんて嫌だ。ごくん。
ほら私も食べれたー。
えーほんとに食べちゃったのー?うそだったのにー。
と言われてその子の手の中に在ったくしゃくしゃの余白。
私食べちゃった、嘘つかれちゃった。
泣いたと思う。

20
お家まで送ってもらう帰りのバスの中で
えりかちゃんと初めて隣の席になった。
ちがう部屋の子でしゃべったことないけど知ってた。
名字が同じだったから。
あまりはずまない会話の中で嫌いな食べ物の話が出た。
ピーマンは?と聞かれて、つい
食べれるよ
と言った瞬間
すごいなぁ!えりかピーマン嫌いなんだ、すごいねぇ〜
と言われた。
パニックになってぱくぱくしてる間に
あ着いた、ばいばい!とえりかちゃんは行ってしまった。
おんなじ名字なのに。
ほんとは私もピーマン嫌いなのに。
嘘はついちゃいけないことなのに。














2012年7月27日金曜日


一番最初の記憶は

1
えりちゃんちで遊んでいる。明るい畳の部屋を覚えている。
えりちゃんはまだ小さくて私はお姉さんだったけど小さかった。
保育園に入る前だと思う。2歳くらい。

2
夜泣きは一切なかったそうだ。
夜中に目が覚めると私はひとりで勝手に起きて、
枕元に置いてあるお水をちゅうちゅうと飲んで
それからまた寝ていたそうだ。

3
お父さんは自営業で眼鏡屋さんを営んでいた。
お母さんはそれをお手伝いしていた。
私が小さかったとき眼鏡屋さんの奥の給湯室に
寝かされていた。給湯室は二畳あっただろうか。
私がお店に出てこないようにお父さんが柵を作った。
お父さんは器用。何でも作ってしまう。

4
ある日柵を飛び越えようとして怪我をした。
私の右手の甲には今も傷がある。
そうして私は「右」を覚えた。
傷がある方が右。ないほうが左。
わからなくなったら手の甲を見れば良い。
こっちはみぎ。だからこっちはひだり。

5
保育園の記憶は無い。保育園から帰って来て遊んでいる自分は
覚えている。保育園はお寺がくっついていた。いやお寺に
保育園がくっついていた。だから仏教だった。

6
保育園から直線300mのところにお父さんの眼鏡屋さんはあった。
その間、眼鏡屋さんから100m、保育園から200mの所に
すすきだらけの正方形の空き地があった。
いつもそこで遊んでいた。ひとりで。
お父さんとお母さんは眼鏡屋さんのショーウインドウから
私を見張っていたのだろう。すすきの中で見え隠れする
赤いジャンパーの私。


7
給湯室にある神棚もお父さんが作った。
いつもお店を閉めて帰る前にお父さんと並んでお祈りをした。
手を2回たたいてパン、パン。
お店が潰れませんように。おみせがつぶれませんように。
おみせがつぶれるという意味は教えてもらった。
とにかく大変なことなのだ、ということだ。
きっとお父さんはすごく悲しいことになるのであろう。
あんなに一生懸命祈っている。

8
お母さんとスーパーに買い物に行く。
知らないおばちゃんと会う。知らない女の子もいる。
こんにちは。と挨拶をしたら
女の子がおばちゃんのスカートを握って後ろに隠れてしまった。
なにそれ。いいな。
すごく真似したかったけど、きっとあんまりやっちゃいけないんじゃないかな。
でもすごく羨ましかった。かわいかった。
お母さんとおばちゃんの話を聞く。こういうのは人見知りと言うそうだ。
あの子にはあって、私には無いんだそうだ。
今度このような状況に遭遇したら絶対やってみようと思った。

9
ピースとウインクが出来るようになった。
むりやり。

10
ひきつけを起こしていたそうだ。
記憶にはない。
ある日熱が出てひきつけの発作がでたとき、
タオルにくるんだスプーンが間に合わなくて
お母さんが私の口に手をつっこんだそうだ。
お母さんの手は血だらけだったそうだ。










2012年7月9日月曜日


きっと


この解は私 独りで導きださなければならないんだな


問答のように


正解ではなく 回答を提示して


それを積み重ねて一つの解に辿り着くように


その解も 回答する私も


一つの解に回収されればいい




それが答えだ




応答せよ